老境小説を書くにいたって思うこと [エッセイ]
今月末締切の、公募ガイド「小説虎の穴」の課題が『老境小説』
老人が主人公のお話
老人の気持ちになって書かねばならない
むかし、一年だけゴルフ場のフロント係をしていたことがある。
そこのプライベートシニア倶楽部に80代以上のメンバーさんのチームがあった。
やはりご高齢なこともあり、ときどき訃報が届くことがある。
するとメンバーさんのお一人がぽつりと私につぶやかれた
『年々、仲間が減っていって、寂しなるわ』
当時22、3歳だった私は、
『また新しく友達を作ればいいのでは?』と軽く考えていた
あれから20数年が経ち、わたしも48になった。
今では、あのメンバーさんの気持ちがよくわかる。
わたしも学生時代や会社勤め時代の友人たちとは、もう30年来の付き合いになる。
その間には、積み上げた思い出がある。
会えば、昔の自分になれる友人たちである。
みな、様々な境遇にあるが、会っているときは肩書きも何も無くなって、素の自分になっている。
それは昨日今日できた友人にはない歴史のなせる技である
同じ時に同じ事をし、つらい思いや楽しい記憶を(感じ方はそれぞれにあったとしても)共有した体験を持った友人がいなくなるのは、とても寂しいことだ。
もう共に過去を語れる友はいない
あの時は面白かったよなあと、笑いあえる友がいない
それは寂しいことだと、今はわかる
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